大会成功を期して

第77回研究大会の成功を期して

公益社団法人 全国人権教育研究協議会(全人教)は、「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」をテーマに、毎年全国人権・同和教育研究大会(研究大会)を開催し、全国各地の人権・同和教育の実践を交流し、学び合ってきました。前身の全国同和教育研究協議会(全同教・1953年結成)から数えて長い歴史をもつこの研究大会をつないでいかなければならないとして、今回第77回研究大会は関東の4県が名乗り出て開催を決意しました。埼玉を主会場として、近隣の群馬、千葉、神奈川と共同して開催します。近年の東日本での開催は、2015年の長野大会と2021年の新潟大会(コロナのため報告集のみ)で、関東では1985年の東京大会開催以来となります。

 開催に当たり、埼玉、群馬、千葉、神奈川各県人・同教が協議を重ね、次のように地元大会スローガンを決めました。

 「狭山」の教育課題を軸に、熱を持ち、目の前のひとに向き合おう ~よりよく生きる 共に変わる!~  

ここには大事な課題が盛り込まれています。

 1963年埼玉県狭山市で起きた狭山事件。冤罪を訴え続けてきた石川一雄さんは昨年3月11日に他界されました。生活や学校の中に部落差別があり、そのため石川一雄さんは学ぶ機会を奪われて育ちました。しかし、獄中で文字を学び、新たに生きる力を得て力強く闘いました。その姿に、私たちが学ぶべき教育の本質があると考えます。

 このスローガンを分節化して言い換えるなら、次のような取組を進めようということです。 ・

○部落差別をはじめあらゆる差別をなくす取組

○子どもの生活背景によりそう取組

○進路・学力・教育保障の取組

○「学び」とは何かを問う取組

○「よりよく生きる」を問う

 今、被差別部落をインターネット上にさらし、差別を助長拡大している行為に対し、それを止めようとする闘いが続いています。偏見に満ちた情報が子どもにもたやすく伝わってしまうのは大変怖いことです。また、近年、外国人に対する偏見の急拡大もあります。これも、当該の子どもたちの生活を直接脅かすものになっています。私たちは、さまざまな人権課題に向き合い差別をなくす実践をつくっていかなければなりません。 表面だけでは子どもの実相は見えません。生活背景までを見る構えが必要です。そこに差別や社会のゆがみがあるかもしれません。戦後の同和教育運動は、「きょうも机にあの子がいない」という現実に目を向け、地域に出向いてその生活背景に気づき、子どもによりそって取り組んだ実践に始まりました。不登校の子どもが増え続けている今も、その意義は変わりません。

 ひとは学ぶことを通して、世界を知り、ひととかかわり、自らを高め、周りの世界を変えていくことができます。学ぶ機会が奪われていたり、学びの中身が偏見でゆがんでいたりしたら、それはひとが豊かに生きることにつながりません。すべての人に教育への権利を保障されるような取組が求められます。

 石川一雄さんは、生涯にわたって短歌を詠み、学びを続けながら、自らを変えるばかりか、差別に立ち向かう多くの人に力を与え、生き方に影響を及ぼしました。それを考えるとき、「学びとは」「よりよく生きるとは」と自問せざるをえません。具体的な実践を通して、この問いを共に追求していきましょう。
 

今大会が、これまでの全人教大会の歩みをひきつぎ、<事実>と<実践>にもとづく討議を通して、着実な成果を得られることを期待します。久々の開催となる東日本はもちろん、全国の参加者がこの成果を持ち帰り、それぞれの場でまた人権・同和教育が深まり、広まることを願います。
       第77回全国人権・同和教育研究大会現地実行委員会          第77回全国人権・同和教育研究大会現地埼玉県実行委員会